〜通所リハビリテーションに対する思い〜


高齢者運動器症候群(ロコモティブシンドローム:通称ロコモ)や、廃用症候群という言葉をご存知ですか?ロコモティブシンドロームとは、 国民全体に運動器機能障害の重要性を認識させることを目的として、2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です。 定義は「運動期の障害により、要介護となるリスクの高い状態」で、運動器の機能障害を有する人、その予備軍も含めています。 運動器とは、呼吸器や循環器、消化器という聞きなれた言葉と同様に、身体運動に関わる骨、筋肉、関節、神経などの総称です。 この身体を支え、動かす器官になんらかの障害や機能低下があって、日常生活に支障をきたしたり、廃用症候群(使っていないために、機能低下を起こすこと)に陥り、 要介護状態となることが問題視されています。

介護予防教室などでお話していますが、「加齢」は平等ですが、「老化」は各々の心がけしだいで不平等です。 厚労省の調べでは、要介護状態となる原因で、最も多いのは「関節の疾患」で、次いで「高齢による衰弱」です。前述のロコモ、 廃用症候群が要介護状態になる入口だということが分かると思います。

これまで、救急病院で勤務してまいり、皆様の“万が一”を毎日、目の当たりにして来ました。 朝、元気に目が覚めて、いつもと変わらない一日の始まり・・・だったのに、病気や事故は予防を心がけても、避けられないことがあります。
その結果、リハビリを行う必要が生じた場合、いつまでリハビリを続けたら良いのでしょう?答えは、一生です。 超高齢化社会に突入し要介護者が500万人とも言われる今日では、医療保険で行えるリハビリには期限が設けられ、維持期においては自己管理が求められます。 リハビリ難民にならないよう、継続して専門的なリハビリを受けられる施設が必要だと感じています。

ヒルズリハ小金原は、疾病の急性期リハビリテーションから慢性期リハビリテーションまで、また、介護予防に、その方に、必要なリハビリテーションを提供し、 その人らしく生きていけるサポーターになりたいと考えます。日常的に介護が必要であっても、リハビリをすることで要介護状態に変化が見込めるとお考えの方や、 リハビリを続けることで生活の質の向上があると考えられ、リハビリをしたい! という方を応援します。
小金原という街で、診療所とともに、「何があれば、あそこに行こう」と思っていただける施設になれるよう職員一同努めます。

−追記−
わたしの祖父は大正8年生まれ、青年時代には職業軍人で、おじいさんになっても姿勢が良く、躾に厳しい人でした。 その祖父は、80歳の時に喘息発作を起こした後、肋骨が痛い、背骨が折れたと寝込み、以来94歳で他界するまでの長い期間、寝たきりで過ごしました。 理学療法士の立場から、寝てばかりいては返ってカラダを悪くすると説明しても、大正生まれの頑固な祖父からみれば「ただの孫」、 往診にみえるお医者さんや看護師さんには手を合わせて感謝しても、孫である理学療法士のお説教は聞かず、足は直角に曲がったままとなって、 小さな祖母が介護ウツになるのに、そう時間は要しませんでした。すぐに2人揃って老人ホームに入所することになり、二人が好きだった外食やドライブに行くことは2度とありませんでした。 よく、患者様やご家族様とお話していることですが、『自分のためだと分かっていても、一人でリハビリはできない』『家族がいくら言っても、やらない』『家だとできない』は、 誰にでも当てはまると思います。外出して、専門施設で専門スタッフと行うリハビリで、皆さまの「自分らしく生きる」を支援できますように。


ヒルズリハ小金原 管理者 森 美和(理学療法士)